石造五輪塔


 沼島の神宮寺の墓地内に立つ同高2基のうち向かって右方の1基。
松香石(注1)という擬灰岩製で総高1.37m。風化は見られるが、全体
としてよく保存されている。

 地輪は、淡路上堺の土井塔(県指定文化財)と同じく、底辺やや眺め
の台形状をなしており、火輪(笠)の軒は真反りで、軒口が薄いことなど
古調をおびている。

各輪各面には種子(しゅじ)を刻み、彫りが深く、その彫法も古い。(注2)

 

 明証を欠くが、当地では古くから梶原景時の墓と伝えられており、この
塔の造立時代も様式手法上ほぼその伝承に近い鎌倉前期のものとみら
れる。

淡路地方における石造美術品の古い
例として貴重なものである。

なお、左塔は花崗岩製で姿もよく、室町
時代初期のものであろう。

1 こすると松の臭いのする特殊な石で、
主に上流階級人のみが使ったとされる。

2 いまの塔は、種子からみると90度西に回転している。